覚えていますか?

「覚えていますか?」という質問は
私をパニックにさせる。
私の背後に黒いカーテンが下りたまま、
聞かれたことにつながる記憶を
必死になって探そうとする。

私の情報処理速度はあまりにも遅すぎる。
あなた自身の記憶を私に説明してくれるほうが
ずっと助けになる。
私に考える時間を与えてくれるし、
時にはこれが私の記憶を引きだすきっかけになって、
自分の気持ちをあなたに伝えられることもある。

しかし反対に、
経験したことがしっかりと覚えられない時もある。
教えてもらっても、
そんなことが起きたのかどうかもまったく覚えていない。

でも私は何か起きたというふりをする。
私のぼんやりした表情や、
ゆっくりと「ああ……、そうね」と言う様子から、
ポールにはそれと わかるらしい。

引用:クリスティーン・ブライデン著
馬籠久美子・桧垣陽子訳
『私は私になっていく』クリエイツかもがわ
p.139、2004

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