ブラックホール

以前、私は
自分がしたいと思ったことを覚えておくために長いリストを作り、
ある日、それを探していた。

ところがポールは、
そんなに大事な物とは知らなかったので、
ただの紙切れだと思って捨ててしまった、と言った。
私はすっかり怒ってしまい、困り果てた。
あのリストをなくしたという恐怖が私を打ちのめし――
未来がなくなったように感じた。
私の前にも後にも、
ブラックホールがパックリと口を開いていたのだ。

「どうしたらいいかわからないわ、ひどすぎる」と、
私はわめき叫んだ。
大きな不幸、危機だった。
私の人生が捨てられてしまったように思えた!

ポールは、私がどうやっても落ち着かず、
壊滅的なストレス反応に苦しんでいることに気づいた。
そこで彼はリストがどこに行ったのかを考えてみた。
それはゴミを出す晩のことだったから、
道路に置かれたゴミ入れだ。
ポールはそれを全部空けて、中からリストを見つけだした。
私はとてもうれしかった。
(中略)
他人にはただのリストにすぎないが、
私にとってはこのリストが人生なのだ。
これが私の人生を整理する唯一の方法で、
これがないと、
私の人生は私の頭の中と同じように
めちゃくちゃになってしまう。

引用:クリスティーン・ブライデン著
馬籠久美子・桧垣陽子訳
『私は私になっていく』クリエイツかもがわ
p.134〜p.135、2004

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