|
介護体験談呆け老人をかかえる家族の会 神奈川県支部版
KSK家族の会(2004年7月16日204号)より おばあちゃんの入院神奈川県 家族の会A会員
いままで元気で入院などした事がなかった姑が、この春、風邪をひいて高熱を出し入院しました。3月のお彼岸の時の事です。昼食を食べた後いつものように、お気に入りの座ブトンを手でこすりながら、楽しそうに歌っていたのですが、何か?おかしいんです。気にかけながらも夕方になり、姑の大好きな夕食の時間になりました。変わりなくスプーン片手に食べ始めようとしたのですが、スプーンの行方は口ではありません。ホッペに行ったり、おでこに行ったり。いつもは一人で上手に食べる食事が、この日の夕食は、ほとんど全介助になりました。熱を計ると三十七度二分。それほど高い熱ではありませんでしたが、大事をとって早めに眠剤を服用して、ベッドに寝かせました。しかし気がかりで、三十分毎に検温しました。計る度に、三十七度五分、三十八度五分と上がっていく目盛りに、これはもう翌朝まで待っている状況ではなくなりました。あいにく、この日は日曜日、しかも夜。運良くかかりつけの病院と連絡が取れて、救急車で運ばれた時には、すでに夜中の一二時を回っていました。救急隊員の検温では四十一度以上にもなっていました。心配された肺炎は起こさず、八日間の入院生活ですみましたが、自分から体調の悪さを訴える事が出来ない痴呆の人の判断の難しさを痛感しました。又、急病の時、痴呆の人を受け入れてくれる施設の整った病院を決めておく必要性も強く感じました。 一週間の入院でしたが、歩行力はかなり落ちてしまいました。歩行器をレンタルして毎日少しずつ回復を試み、今では、歩行器無しで家の中を歩き回る事が出来るようになり、以前の状態がやっと戻ってきたようです。ニコニコしながら楽しそうに歌っている姑に、「よかったね、家が一番いいよねー。思いきって大きな声で歌っていいんだよ。」と言うと、私の言葉が理解できるはずがないのに、タイミングよく「ありがとうございます。よろしいんですか。」と的を得た返事に皆大笑い。病院では、大勢の患者さんの迷惑になるので、歌を止めさせることに必死でしたが・・・。しかし、後で知ったのですが、患者さんや看護師さんにとって、姑は憩いと癒しを与える存在だったようです。熱があってもニコニコと歌い、思うままに行動している事が、周りを明るく楽しい雰囲気にしてしまうなんて。痴呆になったら、すべてを失っていくだけだと思っていた私は、人に与えるすばらしい力も持っていたのだと、新しい発見でした。退院の時、ナースステーションにいた看護師さん全員のお見送りをいただき、「さみしくなっちゃうなー。」「又、来る時はこの病棟を指定して来てねー。」口々にお別れの言葉をかけてくれました。まるで、テレビでよく見るスターの退院風景でした。“おばあちゃんスゴイ!”そして、こんなに可愛くボケてくれてありがとう。
|