|
介護体験談呆け老人をかかえる家族の会 東京都支部版
きずな(2003年6月25日 177号)より 自慢の父東京都 S.W
緑あふれる季節になりました。昨年の5月に父は、家族に見守られて旅立ちました。 10年間の介護の日々は、寿命の縮むようなことも何度かあり、先の見えない日々に、涙も汗も流しました。しかし今は、月日がその時のつらさをすべて流してくれました。今は良い想い出ばかりです。 心優しいが頑固な性格の父は、デイサービスに行くときも、背広を着てネクタイを絞めて行くので、職員に運動しやすい服装で来て下さいと言われても、自分のスタイルは変えませんでした。1度は何を思ったのか喪服を着て行ってビックリされたり、今日のネクタイはステキねと褒められると嬉しそうにしていました。 母の言う事は、なかなか聞かない父も私の言う事は比較的聞いてくれましたので、小言係はいつも私でした。紙パンツの導入も「何枚もパンツが干してあって近所の人に笑われると嫌でしょう」と言うと思いのほかすんなりと履いてくれました。介護ヘルパーさんが交替した時も、逃げまわるので、「私の友達の○○さんよ」と紹介すると、落ち着いた事など、母達と笑いながら話せるようになりました。 私の一番好きな想い出は、家族思いの父が自分がお酒を飲んで楽しんだ時は、家族にも楽しい思いをさせてあげようと、昭和28年頃まだ珍しかったケーキを、大きな箱にいっぱい買ってきてくれました。私達姉妹は、宝の箱を開ける時のようにワクワク、ドキドキしながら蓋を取ったものです。その店の名前は今でも懐かしく思い出されます。 オシャレで友人にも自慢の父は、今、天国で両親や兄弟達に「ずい分ゆっくり来たね」なんて言われている事でしょう。 最近母の顔がとても穏やかになった事が、私は嬉しいこの頃です。 会の皆様の応援ありがとうございました。
|