本文へジャンプローカルメニューへジャンプここからメインメニューです
認知症を知るホームページ イーローゴ・ネットのホームへ
ここからローカルメニューです
介護をされるみなさまへ
周囲のみなさまへ
認知症の方の気持ち
認知症介護の具体的対応法
日常生活での介護の工夫
介護トピックス
介護体験談
ボランティアのためのケアマニュアル
お役立ち連載
ここから本文です

介護体験談

呆け老人をかかえる家族の会 「ぽーれ ぽーれ」福岡県支部報
「たんぽぽ」(2002年6月2日 600号)より

「ヘルパーさんがヘルプするのは誰?」

竹田 照

夫婦の絆

特に一人では何もできなくなった重度障害の場合、在宅介護とは家に介護者がいるからこそ『在宅介護』なのであって、介護者のいない在宅介護はありえない。そして、その介護者は矢張り家族であることが望ましい。  お互いに愛し合い、支え合って長年連れ添ってきた夫婦の一方が不幸にして重度の障害者になり、老々介護の身となった場合、腰痛や坐骨神経痛、又は高血圧をおしてでも、常に寄り添い、話しかけ、できるだけ自らの手で介助するのが、夫婦としての情愛であり、それが夫婦の絆というものでもあろう。だから、介護保険が在宅介護を標榜しておきながら、介護認定において、又は利用限度額の設定において、介護者たる家庭の状態を考慮に入れないのは、私としてはどうしても納得がいかない。

さて、私は百パーセント全介助を要する要介護度5の痴呆の妻を最後まで在宅介護した。重度の痴呆(アルツハイマー病)の他に重度の身障(パーキンソン症)であったので、かかりつけ医の訪問診療や訪問介護(身体介護)等の支援がなかったら、在宅介護は無理であったろう。

在宅介護の主役は私

ところで、ヘルパーさんにヘルプして貰ったのは、当方の場合、痴呆の妻であったのか、それとも介護者たる夫の私の方であったのか。一体そのどちらであったろうか。常識的にいえばそれは、妻、ということになろう。然し、私はヘルプして貰ったのは妻ではなく私の方である、と言いたい。私がそう思う理由は、ヘルパーさんに来て戴くとしても、在宅介護の主役はあくまでもこの私なのである。その私が妻の介助をするのを手伝って(ヘルプして)戴くのがヘルパーさんの仕事であると、私はそう思うのである。即ち、訪問介護とは、被介護者をヘルプするのではなく、介護者が行う介護をヘルプしてもらうものである、と。

ヘルパーさんは私によく『私がしますから、ご主人は休んでいてください』と言ってくれた。その度に私は冗談めかしてこう言ったのである。『ヘルパーさんの仕事は、私が妻の介護するのを手伝ってもらうのが、ヘルパーさんの仕事であると思う』と、そしてヘルパーがする介助を一緒に手伝いながらこうも言ったのである。『だけど、私はヘルパーの資格がないので、無資格のヘルパーなのかな。それにヘルパーの仕事をヘルプするヘルパーのヘルパーなんてあるのかな』と。
そして私はいつもヘルパーと一緒になって妻の介護をしたのである。ヘルパーさんが一生懸命妻の世話をしているのに、私だけがテレビを見ている等は、私の性分としてはできなかったのである。

ヘルパーさんと一緒に

植物の好きなヘルパーさんとは、花のことや園芸の話を、漢字検定に挑戦されている方とは、今はほとんど使われなくなった漢字、例えば松籟颯颯とか白皚皚とかを、新任のヘルパーさんには、逆に私の方から立たせたり歩かせたりする一寸したコツを伝授したりもした。それから、各種委員会や審議会の委員を選ぶ時にいう『学識経験者』は、学者やおえら方が多すぎる。これは、学識者及び経験者と読むべきである、とか、訪問介護の報酬基準単位が低すぎるとか、本当に、一緒に介助しながら話題は尽きなかった。ヘルパーさんとあれこれ喋ることによって、私のストレスはほぐれ、束の間ながらも楽しい一時をすごせたのである。妻も笑顔を見せていたので、その暖かい雰囲気は伝わっていたことと思う。

妻への思い

幸いに私はよい妻を得たからこそ介護に生き甲斐も感じ、介護は苦にならなかった。ただ、不思議なことは、妻が亡くなって数日後、紙おむつ一杯に下着まで溢れでたユルユルの排便を、どの様に、どんな手順で一人で清拭し、交換したのか等、必死になってやっていたことが殆んど思い出せなくなっていたことである。あとで何かで読んで、なる程と思ったが『人は極めて辛い体験をした場合、その記憶から速やかに消去されるものである』と。

私は神仏には無縁である。然し、妻の介護を辛いとも嫌とも思うこともなくでき、今でも当時のことを懐かしく思い出せる性分にして戴いた神には、心から感謝する。

戻る
ここから下部共通メニューです
お問い合わせ アクセシビリティ別ウィンドウで開きます プライバシーについて別ウィンドウで開きます リンクについて エーザイ株式会社のホームページへ別ウィンドウで開きます ファイザー株式会社のホームページへ別ウィンドウで開きます