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介護体験談呆け老人をかかえる家族の会 福岡県支部報
「たんぽぽ」(2001年9月28日 441号)より 「ある日突然に」二場 俊彦
私の家内は昭和六三年頃から少し様子がおかしくなり、アルツハイマー型痴呆症と診断されました。当時五八歳でした。はじめは病気の進行と共に私の戸惑いは増していき、対応の難しさを実感してまいりました。 13年目にしてようやくまがりなりの介護を続けております。 そんな中、私が生涯忘れることの出来ないことが何度もありましたが、今回はその中の一こまを述べることにします。 平成七年五月のある日の夕刻でした。台所に立って野菜を刻んでいた私は、ふと気配を感じて振り返りました。そこには家内がきちんと正座して私を見上げておりました。目と目が合った瞬間のことです。「オトウサンゴメンネ」と涙をボロボロ落としながら頭を下げているではありませんか。私はびっくりしました。いえ驚いたというよりも一瞬電気に打たれたようでした。それもそのはず、全く自覚症状の無かった家内が突然に目覚め、本来なら自分がしなければならないことを夫の私がやっている、その私への感謝ともどかしさのようなものが、ひしと伝わって来ました。 私は我を忘れて包丁を投げ捨てるようにしてそばに寄り、無意識のうちに家内をしっかりと抱きしめていました。涙をふいてやりながら心の中で叫びました。 「いいから、いいから、かぁさんは何にも心配しなくてもいいよ、命ある限りわしがちゃんと護ってやるから」 私は発病以来の家内をこのとき程いとおしく感じたことはありません。そしてその翌日から介護に対するファイトが倍増したことは言うまでもありません。 この世界のいずこにいても
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