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介護体験談

「老人をかかえて」奈良県支部版
「なら」(2001年2月25日 No.131)より

発病から もう10年

K. Y.

主人の発病からもう10年がたちました。

今はN病院の長期療養型に入院して2年になります。皆様の手厚い看護のお陰で仏様のような穏やかな顔で落ち着いて過ごしています。もう歩くことも話すことも出来ません。食事には全介助を要しますが食欲があり体力が維持されています。手を触れるとしっかり握り返してくれます。まだまだ感情はしっかり残っています。

主人と私は高校の時に知り合い、結ばれ、会社を経営し苦楽を共にして来ました。まじめで優しい夫でした。その夫が専門医からアルツハイマー病と診断されたのは10年前、夫47歳の時でした。まだ学資の要る3人の子供のためにも病気の夫を支えつつ仕事をしておりました。数年後、徘徊が始まり攻撃的な症状が現れ、怒鳴ったり、物を持ち上げたり、鏡やガラスを見て興奮するようになりました。私は、主人にどうすることも出来ませんでした。いつも主人のことで頭が一杯でした。どうしたら病の進行を押さえる事が出来るのか、どのように世話をすればよいのか、あれこれ夢中でした。

ある日、息子から「お母さんは一生懸命すぎてお父さんは、かえってしんどいんや。もっとリラックスして、その時を自然のままに介護する方がお父さんも喜ぶよ。」と言われました。良かれと思ってすることが、かえって主人を疲れさせるかもしれないと反省し、それ以来自然に付き合うようになり私の顔も柔和になったように思います。

今、私の一番の楽しみはフラダンスです。家族の会の世話人さんのMさんに勧められて習い始めました。入院患者さんに披露し喜ばれ、ハワイアンのメロディーに心うきうきです。以前はスーパーで二人づれのご夫婦を見てもうらやましく、「何で私の夫がこんな病に冒されて、」と思うとつらくなりました。一番つらい時に「家族の会」を知り、慰められ学び励まされました。友人たちの優しい思いやり、近所の人達の助け合いの輪に涙し、家族に助けられ私は幸せ者です。

発病した主人と一緒にまわった三十三ケ所巡りと八十八ケ所巡りの残りを「主人がいつまでも元気でいますように」と祈りを込めてお寺参りをしています。

私は夫に「あれもこれも、みんなお父さんのお陰です。お父さんありがとう。今でもずっと“大々好き”です。」と心から呼びかけています。

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