介護体験談
「老人をかかえて」東京都支部版
「きずな」(2001年1月25日 No.148)より
介護は少しのゆとりから 〜歌を口ずさんでみませんか〜
Y. K.
21世紀の日本は、世界に類をみない高齢化社会を迎えるといわれています。
一つには、日本が長寿国である事、又更に少子化が進んでピラミッド型の年齢構成が崩れてきたせいとも思われます。
人間の老化と痴ほう症の解明はますます急がれ、私たち「家族の会」の存在も介護家族の心の支えとして重要さが増すと思います。
思い返すと父が痴ほう症になった事は、母にとり大変なショックだったようでした。
私達一家は両親と同居して、介護を手伝いましたが、今でもある情景が目に浮かびます。
母は、歌が好きで、「早春賦」とか「夏は来ぬ」を歌う事がありました。
そんな時、父の険しい顔が一瞬、和らいで穏やかな顔に戻るような気がしました。
そんな母の血を引いたのか、私も若い頃から歌が好きで、コーラスグループに所属していたのですが、子育て、介護のサポート等で20年以上離れていました。
歌といっても、私の好きなジャンルは童謡唱歌で、最近になりそのようなサークルを見つけました。
懐かしい子供の頃の歌を歌うと、すでに他界した父の事、その後を追うように逝った母の事を思い出します。
ここでは、ただ、歌うだけではなく、その歌の時代背景や、作者の人柄、その歌のモデル等の話を講師がしてくれます。
例えば皆さんよくご存じだと思いますが「赤い靴はいてた女の子...」と歌う女の子はモデルがあり、実はその子はきみちゃんといい、病気の為渡米出来ず亡くなりました。後に「きみちゃんの赤い靴」という歌が作られた等のエピソードも聞き、作者の気持ちを汲んで歌うと違った味になるような気もします。
童謡、唱歌を懐かしく思う世代は限られるように思いますが、私にとっては両親、とりわけ母への思い出と重なり、いくつになっても大切なものと思っています。
現在、介護の真っ最中の方には、趣味の話など顧みる余裕は持てないかも知れません。
又私自身その時は母と共に父の状況に一喜一憂しておりましたので、ゆとりのない生活はよくわかります。
しかし今にして思えば、母と一緒に口ずさむ歌が、私達家族に少しの勇気を与えてくれたと思えてなりません。
皆さんもたまには、童謡、唱歌を口ずさんでみませんか。
私の父のように、つられて心の琴線にふれることがあるかも知れません。
又介護する方の心のゆとりは、この病気の介護をする上で、介護される方への、いたわりと優しさとして、いい影響をもたらすのではないかと思っています。
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